火事で従兄弟が亡くなった。
と、書いて止まった。
しばらく書けなかった。
こんな個人的なこと書いて良いのか?って気持ちも有ったし。
何も書けないまま、葬儀が終わった。
けど、彼のことを残したいと思ったので書く。
1日、火事。
通夜が13日、葬式が14日でした。
本人確認の為にDNA鑑定を、とか。
いや、早朝に本人以外だとしたら誰が寝てたんだ?って話だけど。
まあ仕方無いんかな。
随分時間が掛かる物なんだね、あれって。
死の偽装から、別人として生きる、とかを疑うのかな?
保険金詐欺、とか?
それならそれで、生きていてくれた、となる所ですが、ちゃんと本人だったみたい。
彼は、私の店にコーヒーを飲みに来る。
来ていた、と言うべきか。
DNA鑑定が終わるまでは、突然ふらっと来るような気がしていた私。
彼は、歩いて来ていた。
今も何となく、また来るような気もしている。
つい、歩いている人を見てしまうよ。
葬儀では、焼死体だからか、棺を開けても顔を見ることは出来ずでした。
しかし不思議な物で、何故かその時。
ああ、本当に死んだんだ。
と、何故か、顔も見ずに感じてしまった。
死を知った当日、風呂で1人になった瞬間。
式場で写真を見た瞬間。
そして、顔の見えない遺体を見た瞬間。
涙が溢れてしまった。
本人だ、なんて証明は出来んはずなのに。
顔の見えない遺体なのに。
何故か、本人だ、と。
不思議な感覚でした。
ただね、葬儀の担当者さ、多分、進行の流れが有るからか、いつも通りの流れでか、通夜で棺の窓を開けて顔を見るタイミングの時。
開けて、はっ、として。
1回閉めちゃった。
顔は見えんからね。
それでも最後だから、と、友達に囲まれて。
顔は見えないはずなのに、泣く友達もいた。
何故だろうね。
不思議な体験だったね。
彼は、画家でした。
家に有った物は全てが燃えてしまった。
祖父母の家に1つ、作品が有りました。
祖父母が亡くなって、私の親がそこに住むことになったのですが、その時、絵をどうしようかな、と。
残していて良かった。
まあ、その絵は棺に入れて一緒に焼いたのですが。
なので、もう何も無いわけです。
こちらには。
彼の絵を購入した方には大事にしていただきたいと思います。
これが、棺に入れた絵の写真。
抽象画、とか言うんだったか。
これも、抽象画、なのかどうかは知らん。
筆を振って描いたと言うか水しぶきのような絵とか昔見せてもらったな。
賞を取るレベル…って言われても抽象画って違いが私には分からんけどね。
画家、ってのは大変な職業みたいで。
職業、とも言えるのかどうか。
彼は個展を開くことも(昔は)有りました。
ある日、絵が1枚30万で売れた、と話してくれたんですが。
材料費、完成までの日数、個展の場所代、とか…全く知識が無いので全然知らんのだけど。
毎月1枚30万で売れたら、画家として生きて行ける、のかどうか。
売れる前の俳優や芸人のようにアルバイトをしていたわけです。
彼はそれが上手く出来ず、続かず苦しんでいたみたい。
詳しくは知らんのだけど。
精神の病院に通っていた、とは聞いていたんだけど。
だからか、DNA鑑定以外にも、事件の可能性がどうとか。
後から聞いた話ですが、私も容疑者の1人だったようです。
…実は自殺だった、とか、精神の病気で苦しんでる息子を楽に、とか、そんな可能性、か。
保険金とか、何か変わるんか?
知らんけど。
彼との最後は…何月だったか。
輪島のお兄さんの震災後、コートを着て店に来ていたと思う。
1月から3月くらいの間、かな。
輪島のお兄さん、ってのは母がそう言うので自然と私も。
彼の、父の兄、なのにお兄さんと呼ぶ。
まあそれは良いんだけど。
あの時は、お金を借りに来た。
すぐ返せるから、と。
その時、コロナが何となく終わったけど客が帰って来ん。
物価高も来て、年金生活者あたりは、お金が足りないなら必然的に削るのはコーヒー代とか生きるのに要らん部分かもね、とか、そんな話をして。
レジの中のお金が全財産になっちゃったわ、渡せる金が無いんだ、なんて言って。
すると、お金を借りに来たのに。
何か有ったら言えよ。
なんて。
誰が心配してんだ、と。
それが最後でした。
お金を貸していたら…未来は変わったかもしれんな。
何に使うつもりだったのか。
今となっては、もう。
大人になってからは、彼が何をしているのか、なんてほとんど知らずに過ごしていた。
思い出すのは子供の頃のことばかり。
一緒にやったゲームとかさ。
タイトル何だっけ?対戦っぽいマリオの奴とか。
頻繁にやったのはクルクルランド。
2人プレイ出来るゲームをいくつも持っていた印象。
従兄弟、ってさ、その友達とか知らんね。
葬儀に来てくれた仲の良い方々も誰も知らんかったけど、そんなもんかな。
友達と一緒に出来るゲームが好きだったんかな、と。
ドラクエ3も何故か一緒に?一緒にやった、と言うか、見てただけか。
私は発売日に買って先にやっていて、彼が買ったばかりの時だったと思う。
そう、その時、名前どうするんだろう?って思ったんだ。
彼は名前が5文字なんだよね。
…まあ良いか書いても。
彼の名前は、漢字が違うけど、今1番有名なメジャーリーガーと同じ名前だ。
勇者の名前は、「しょう」だった。
そんな、アリアハンの思い出。
最近の趣味は?とか、最近何か描けてたんか?とか、もう何も聞けんのだな。
コーヒーを飲みに来ても、特に何か話したりせずに、ちょっとしたら、ありがとな、って帰って行く。
精神の病気…ってのもさ、ちょっと分からんし難しいじゃない。
だからさ、こんな感じで良いと思っていた。
もしかしたら、私が何か出来たんじゃないか、って後悔している。
共働きの親と1人っ子で。
祖父母4人亡くなって。
もしかしたら、今、彼にとって1番近い親族が親よりも私だったのかも、と。
私の母は、霊感が凄いんだけど。
家を失って、おじちゃんも退院して、4人で今住んでるのに。
おばちゃんは火事からずっと住んでるのに。
来てない、らしい。
火事の日、ラップ音、ってのが凄くて。
たまたまだよな、とその時は思いながら。
親よりも、私の所に来ていたんだ…と。
そんなことを聞いてしまったから、余計に葬儀が辛かった。
今でも、こんなこと書いてたら泣ける。
今でも、何か有ったら言えよ、がはっきりと耳に残っている。
私の長男が、高校受験。
滑り止めの私立が、彼の母校なんだ。
息子を頼むよ…とは言えんけどさ。
美術とか受験に関係無いし。
でも、見守ってくれ。
しょうへい兄ちゃん。